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16メガワット。ウルグアイのコロニア・デル・サクラメントでブケブス(Buquebus)の運航を統括するパブロ・ロペスによれば、これは町全体がまかなう電力にほぼ等しい。現地の港にある2基の充電器が供給する電力もそれと同じで、しかもたった1隻のフェリーのために造られた。「コロニア市全体が必要とする電力なので、専用の送電線を引く必要がありました」。ロペスは設置工事が始まった2025年秋にこう説明した。

フェリーの名は「チャイナ・ソリージャ」。ブケブス創業者フアン・カルロス・ロペス・メナの親友だったウルグアイの女優にちなむ。バッテリーで走る船としては史上最大だ。2026年10月22日、ブエノスアイレスとコロニアを結ぶラプラタ川の航路で商業運航を開始し、初便には700人を超える乗客が乗った。建造したのはオーストラリアの造船所インキャット。バッテリーで動く船を造ること自体は実現可能だった。難しかったのは、その周辺のすべてだ。フェリーは別の船の甲板に積まれて大洋を渡ったが、驚くには当たらない。バッテリーで走れるのは1時間半ほどしかないのだから。そして陸では、町ひとつ分の電源プラグが必要になった。

4つの部屋に250トン

全長130メートル、全幅32メートル。乗客2,100人と車225台を運べる。甲板の下には4つの独立したバッテリー室があり、5,016個のバッテリーモジュールが合計約250トン分収められている。蓄電量は40メガワット時超。インキャットによると、これまで船に搭載されたどのバッテリーよりも4倍大きい。

40メガワット時は、車に置き換えるとわかりやすい。大型の電気自動車の容量を75キロワット時とすると、このフェリーには約530台分のエネルギーが入っている。大まかな見積もりだが、スケールは明らかだ。船倉に乗るのは225台なのに、バッテリーはその2倍以上の車列に相当する電気を抱えている。

インキャットの見積もりでは、これで約90分運航できる。ラプラタ川の約55キロの横断には75分かかるため、フェリーは毎回の航海のあと、両方の港で充電しなければならない。8基の電動モーターが8基のウォータージェットを回し、推進用のディーゼルエンジンはない。

最初の乗客がいちばん驚いたのは静けさだった。ペルフィル紙によると、初航海の700人超は、エンジン音も不快な機械の振動もなく海を渡った。乗船していたインキャット社長のクレイグ・クリフォードは、まさにそれを予想していた。いちばん意外に感じられるのは、おなじみのエンジンのうなりがすっかり消えていることだろう、と彼は語った。

最速のフェリーと、その遅い後継船

ブケブスには比べやすい相手がいる。チャイナ・ソリージャ以前の最大船は、同じくインキャット製で速さで知られる「フランシスコ」だ。ギネス世界記録は58.1ノット(時速約107キロ)で、これを世界最速のフェリーと認定している。チャイナ・ソリージャが運ぶ人数はフランシスコの2倍だ。

新しいフェリーも当初は似た船になるはずだった。2019年の設計は液化天然ガスを燃やすエンジン4基を積み、約37.5ノットを出す計画だった。その後ブケブスが造船所にバッテリー版の検討を依頼し、2023年に建造の途中で設計が切り替えられた。インキャット会長のロバート・クリフォードはこれを、段階的な改良ではなく意図的な飛躍だと表現した。燃料価格は乱高下し、バッテリーは安くなり、充電ははるかに速くなったからだ。

ロペス・メナ本人はもっと単純に語っている。「電気の船を造るチャンスが来たとき、次の船まで待ちたくなかった。この船でやりたかったんです」。2026年9月に彼はこう述べた。

この飛躍の代償は速度だった。電気フェリーの運航速度は25ノットに制限されている。時速にして約46キロで、ガス駆動の2隻の兄弟船と並べると差は一目瞭然だ。

// 1つの会社の3隻のフェリー

フランシスコ

ガスタービン2基、58.1ノット(時速約107キロ)、ギネス記録

2019年の設計

液化天然ガスのエンジン4基、約37.5ノット

チャイナ・ソリージャ

40MWhのバッテリー、最大25ノット、乗客2,100人

技術的にはもっと速く走れる、とパブロ・ロペスは言う。ただしエネルギー消費が大きくなりすぎる。水中では抵抗が速度よりも急に増えるため、1ノット上げるごとに充電量の不釣り合いに大きな部分が食われていく。

他人の甲板に乗って大洋を渡る

世界最大の電気船は、自力では大洋を渡れない。バッテリーがもつのは短い航海1回分で、タスマニアからウルグアイまでの旅は、Infobaeによれば海路で1万5,000キロを超えた。

そこでフェリーは別の船に乗って移動した。全長217メートルの半潜水式船ブラック・マーリンが、ホバート近郊のダーウェント川で貨物甲板を水中に沈め、その真上にフェリーを据え、バラスト水を抜いて船体を水面から持ち上げた。航海は約40日。出発は予定より数か月遅れた。ブラック・マーリンの到着が、ホルムズ海峡の混乱で遅れたためだ。2026年9月12日、フェリーはウルグアイのヌエバ・パルミラ港で浮上させて降ろされ、2隻のタグボートに付き添われてコロニアへ向かった。就航は、造船所が2023年に示した期日より1年以上遅れた。

電気フェリーは、別の船の甲板に積まれて大洋を渡った
電気フェリーは、別の船の甲板に積まれて大洋を渡った

プラグにつながれた町

この話では、船と同じくらい埠頭が重要だ。たった1隻のために、コロニアは充電器と新しいケーブルと変電所を約2,000万ドルで手に入れた。最終的には運航会社が支払う。一部は今後の電気料金という形でだ。

フル充電にはインキャットの見積もりで約40分かかる。充電は乗客の入れ替えの時間に収まる、とパブロ・ロペスは言う。車が降り、チケットが確認されるあいだに充電するので、ダイヤはほとんど変わらない。

ウルグアイにとって、こうした顧客はむしろありがたい。国営電力UTEのアンドレア・カブレラ総裁は、フェリーのお披露目の場で、国の電力の98%が再生可能エネルギーだと念を押した。2024年にロペス・メナは、ウルグアイの発電量が需要の120%に達することがあるのに、余剰を貯める場所がないと説明していた。航海のたびに充電するフェリーなら、その余剰の一部を航海に変えられる。

120%になる日もあるが、貯めておくことはできない。

このフェリーが証明したことと、そうでないこと

今のところ証明されたのはひとつだ。航路が短く、両岸に強力な充電器があれば、大型の旅客フェリーでもバッテリーでダイヤどおりに走れる。インキャットは、デンマークの運航会社モルスリーネン向けに、全長129メートルの電気フェリーをすでに3隻建造中だと述べている。

長い航路は依然として手が届かず、外洋もそうだ。運航会社の話を引くニュー・アトラスは、燃料費の節約を年450万ドル、回収期間を5〜8年と伝えている。これらは予測であって、実績ではない。ブケブスでさえ、正確な航続距離は明言しない。「実際にどれだけ走れるかは、走ってみてわかります。海の上では、陸よりも変動が大きいので」とパブロ・ロペスは注意を促した。

乗客にとっては、どんな記録よりも運賃が大事だ。その運賃には今や、埠頭で引き出される町ひとつ分の電力が含まれ、その電力の価格を決めるのは電力会社だ。運航会社の主な供給元はかつて燃料会社だった。今は送電網だ。ロペス・メナはそれを2024年、船がまだ建造中のうちに理解していた。「値引きをお願いしないと。コストが下がれば運賃も下げられる」と、彼は当時語っている。